テレビや書籍などで「STEAM教育」って聞いたこと・見たことありませんか?
本屋さんでもSTEAM教育に関する書籍が増えました。
テレビ番組でも教育特集などで紹介されていたりします。
また、知育教材などに「STEAM教育対応」という記載があるものもしばしば見かけます。
そんなSTEAM教育ですが、一般的に認知されているかまだまだ怪しいのが現状です。
2022年7月頃に、お子さんがプログラミングスクールに通っている方に「STEAM教育って知ってますか?」というアンケートを取ったことがあります。
50人回答いただき、以下のような結果でした。
- 知っている:10人
- 聞いたことあるが詳しくは知らない:15人
- 知らない:25人
このページにたどり着いたということは「聞いたことあるが知らない」という方がほとんどだと思います。
そういった方のために、本記事では「STEAM教育」について簡単にわかりやすく解説していきます。
STEAM教育とは?読み方はスティーム教育
まず、STEAM教育の「STEAM」とは、下記の5つの頭文字を組み合わせた造語です。
ちなみにSTEAMの読み方は、そのまま「スティーム」です。
そして「STEAM教育」とは、これら5つの領域を重視して、盛り込んだ教育方針を意味しています。
これから未来の社会において、固定概念を持たずに、世の中を変革していく人材を育成していくことを目標としています。
簡単に意訳すると「AIが発展した社会や超情報化社会でも活躍できる人材育成」を目指しているわけです。
たまに、STEAM教育をIT社会に通用する人材育成教育と解説しているサイトがありますが、IT分野に特化して「プログラマー育成」教育ではないので、少しニュアンスが違います。
いつからSTEAM教育が始まるのか?
実は、STEAM教育はすでに始まっています。
内閣府が2016年に「第5期科学技術基本計画」を発表しました。
その中で「狩猟社会」(Society 1.0)、「農耕社会」 (Society 2.0)、「工業社会」(Society 3.0)、「情報 社会」(Society 4.0)に続く次の社会発展として、「新たな社会」(Society 5.0)を提唱しています。
出典:内閣府ホームページ
この新たな社会というのが、さっき言ったAIが発展した社会や超情報化社会のことです。
そして「新たな社会」(Society 5.0)に向けて、2018年6月文部科学省が「Society 5.0に向けた人材育成 ~社会が変わる、学びが 変わる~」という人材育成方針を発表しました。
この人材育成方針こそがSTEAM教育を取り入れたものです。
なので文部科学省のサイトをみると、
至るとこで「STEAM」という言葉が出てきますよ。
文部科学省の人材育成方針をもとに幼稚園、小学校、中学校、高校及び特別支援学校の学習指導要領が改訂されました。
出典:政府広報オンライン
STEAM教育が始まって何が変わった?
では、STEAM教育が始まって何が変わったのか?
細かくいうとたくさん変わってるんですが、
STEAM教育によって大きく変わった点だけ説明します!
全体的にみると、「プログラミング教育」が充実しました。
また、コミュニケーション能力、問題解決能力の育成に重点が置かれています。
新教科も追加され、かなり大きな変更といえます。
小学校・中学校・高校におけるSTEAM教育をもっと詳しく知りたい方は別の記事にまとめています。
事例や受験についても書いてますので、是非そちらもご覧ください。
STEAM教育の歴史
STEAM教育の「STEAM」はもともと「Art」を除いた「STEM」が基となっており、アメリカで生まれたものです。
アメリカではソ連に対抗するため、STEM教育の必要性が意識され、1960年頃から科学技術発展のためSTEM教育が展開されてきました。
その後、2009年にアメリカのオバマ大統領は、科学技術イノベーション政策を重視していました。
そのオバマ大統領は、科学技術発展に向けて、STEM教育の重要性を説き、2013年にはSTEM教育5ヵ年計画を発表し、世界中の注目を浴びました。
なんとアメリカではSTEM教育法という法律まで成立しています(後にSTEAM教育法へ改正されました)。
アメリカの経済や企業は、
こうした人材育成があった背景で成長しています。
アメリカの超有名IT企業を挙げてみると分かりやすいと思います(時価総額順位は2022年5月時点)。
- iPhoneで有名なApple、時価総額世界1位
- WindowsやofficeソフトのMicrosoft、時価総額世界3位
- 検索エンジンのGoogle(現Alphabet)、時価総額世界4位
- ネットショップのAmazon、時価総額世界5位
- SNSのFacebook(現Meta Platforms)、時価総額世界8位
その他にもオンデマンドサービスで有名なNETFLIXやHulu、動画配信プラットフォームのYouTubeやTwitchもアメリカの企業です。
こうした世界的企業はSTEMによって発達してきましたが、次なる可能性として「Arts」に着目しています。つまり、STEAMです。
今までは「STEM(客観性・論理性)」に頼ってきましたが、「Arts(主観性・直感力)」を加えることで、新たな進化を遂げようとしています。
実際に、デザイナーを雇ったり、デザイナーが経営する会社を買収したりする動きがあります。
こうしたことからSTEAM教育の重要性がうかがえます。
世界におけるSTEAM教育
ヨーロッパでは、EU全体で科学教育の底上げを1990年代から推進しています。
2015年には、「EU STEM Coalition」というプラットフォームを創設し、産官学連携でSTEM教育を支援する動きがあります。
特にイギリスでは、2004年に「科学とイノベーションにつながる投資に関する10ヵ年計画」を打ち出しており、EUの中ではSTEM教育先進国といえます。
この計画によって、物理・科学・生物学の3科目で大学受験をする生徒が増えるという成果を上げています。
こうした動きはアジアでも同様です。
中国では、革新的な人材および高度技術者の不足を懸念し、政府が2015年STEM教育について言及し、アメリカ・ヨーロッパ同様にSTEM教育計画を発足しています。
それにより、小学校の義務教育課程にSTEM教育を取り込むこととしています。
このように、どの国でもSTEAM教育を国家方針として動いています。
Artsが入っていない、STEM教育の場合もありますが、最近ではArtsをプラスしたSTEAM教育へ定義を拡張する動きも多くあります。